性的マイノリティって何?

「セクシュアルマイノリティ」「性的少数者」「性的少数派」ともいうことがあります。
性的マイノリティとは、多くは同性愛や性別に違和感を覚える人のことを指します。「人は異性を愛するのが当然だ」とか「持って生まれた性別に合わせた生き方をしていくことが当然だ」としている社会からみて少数者という意味です。

性的指向(恋愛の対象)に関すること

同性愛(ゲイ・レズビアン)

自分自身が認識している性別と同じ性別の人を恋愛対象とすること。
「性的指向」はそれぞれで、性的な関心が異性に向かわない場合があります。

バイセクシュアル(両性愛)

性的な関心が異性に向く場合も、同性に向く場合も両方ありえること。

パンセクシュアル(全性愛)

性的関心や恋愛対象において性別にこだわりをもたないこと。

無性愛(アセクシュアル・Aセクシュアル)

他者に対して恒常的に恋愛感情や性的欲求を抱かないこと。

非性愛(ノンセクシュアル)

恋愛感情はあっても性的な欲求を持たないこと。

性別に関すること

トランスジェンダー

出生時に届け出た性別と違う性別で生きている人、生きようとしている人、生きたいと思う人。

性同一性障害

身体上の性別と、自分自身が認識している性別が一致せず違和感を感じる状態で日本精神神経学会による『性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン』の診断基準に従い診断された場合の医学的疾患名。
略してGIDとも言う。現在、WHO(世界保健機関)において定義の見直しが検討されている。

X(エックス)ジェンダー

性別を男や女に限定したくない、できない、分からないと感じている人々

体の性に関すること

体の性の様々な発達(Differences of sex development:DSDs)

外性器・内性器・XY染色体などが、「男性ならばこういう体の性」・「女性ならばこういう体の性」という決まりとは、先天的に一部異なる体の性の発達状態のこと。性分化疾患・インターセックスの体の状態とも呼ばれる。
性的指向・性自認とは異なる概念。DSDsを持つ人々は、体の性の状態が一部異なるだけのただの男性・女性で、いわゆる「男でも女でもない」ということではありません。

LGBT

レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字からきた言葉ですが、そのほかにもある様々な性的マイノリティの総称として使われています。

同性愛

性的マイノリティの中でも一番多くを占めるのが同性愛の人々とされます。県内にも数多くの当事者がいますが、偏見や家族への迷惑を考えて、多くの人は自分を隠して生活しています。異性愛者の振りをし、分からない様に心がけているので、そんなに多くいないと思われています。家族にも相談できず、孤独においやられています。
過去、精神病とされていましたが、今では国際精神医学会やWHO(世界保健機構)で、同性愛は「異常」「倒錯」「変態」とみなさず、いかなる治療の対象からも外されています。
変態性欲であるとか、倒錯的であるといった偏見や誤解は根強くあり、差別発言や嘲笑をする人を容認してしまう社会があります。同性婚を認める国も増えていますが、日本での理解はこれからです。

性別違和・性同一性障害

性別違和を持つ人(トランスジェンダーとも言います)のうち、精神科で診断されると性同一性障害となります。身体を本来の性別に合わせていく性別適合手術やホルモン治療を望む人もいますが、身体はそのままで服装や態度などで自分らしくいようと努力している人もいます。
同性愛と混同されることがありますが、意味合いは大きく異なります。
相反する性別として生きることが求められる苦痛があり、社会からの男らしさや女らしさによって追い詰められてしまいます。
当事者たちの努力で2003年に性同一性障害特例法が成立され現在に至りますが、WHOでは定義の改定が進められています。

人権問題として

同性愛や性同一性障害のことは、法務省の主な人権課題のなかで明確に取り上げられており、我が国における人権問題として取り組むべきこととされています。
また、愛媛県においても、県教育委員会が策定した「人権教育の基本的な考え方と進め方」において、性的少数者について、学校教育で人権教育として扱うよう書かれています。

「性的マイノリティ」…同性愛者など、性的マイノリティは、古くから日本の社会にも存在した。明治時代以降、性的マイノリティがタブー視されてきたこともあり、自らの性的指向等を明らかにすることにより、受けることが予想される嘲笑や侮辱といった周辺の無理解による悩み、不安、苦痛等を抱えている。また、思春期においては、多くの場合、性的指向や性同一性障がいに気付き、悩んだり、家族や友人、教師などの何気ない言葉や態度で精神的に傷ついたりすることがある。
学校教育では、人権尊重の視点に立って多様な性の問題についての学習機会を設けるなど、性的マイノリティに対する理解を深め、差別や偏見をなくすよう人権教育・啓発を進めることが重要となっている。
(愛媛県教育委員会「人権教育の基本的な考え方と進め方」より)

LGBT

レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダーの頭文字。性的少数者全般を表す。性分化疾患やXジェンダーも包括的に含む考えもある。

性的マイノリティ・性的少数者・セクシュアルマイノリティ

同性愛者や性別違和、性同一性障害など、異性愛や生まれ持った性別に違和感のないことを一般視している社会から見て少数者とされているものの総称。

同性愛

自分自身が認識している性別と同じ性別の人を恋愛対象とすること。

ゲイ(gay)

主に、男性同性愛者の呼び名。「ホモ」という言い方が差別的に用いられる歴史があったため、同性愛当事者が自ら名乗るようになった呼び名。

レズビアン

女性同性愛者の呼び名。「レズ」は蔑称。

バイセクシュアル

両性愛者の呼び名。

性的指向

自分の性別ではなく、性愛の対象としてみる「相手」の性別。
異性が対象:ヘテロセクシュアル・異性愛(ヘテロ)
同性が対象:ホモセクシュアル・同性愛
両性が対象:バイセクシュアル・両性愛
※ 嗜好・志向ではない

ヘテロ

ヘテロセクシュアル(ホモセクシュアルの逆)異性愛者

Aセクシュアル

他者に対して恒常的に恋愛感情や性的欲求を抱かないこと(無性愛)

性自認

自分自身の性をどうとらえているかということ。自分を男と思うか女と思うかということ。

性別違和

自分自身の体の性に対し違和感を持つ状態

トランスジェンダー・TG(transgender)

性自認が身体的性別と対応しない人の呼び名

トランスセクシュアル・TS(trans sexual)

身体の性と心の性の不一致を特に強く感じている人たちのことで、この二つを一致させるために形成外科的手術(性別適合手術)を強く望む人。

GID

性同一性障害 Gender idemtity disorder の略。

性同一性障害

生物学的な性別と精神的な性別が一致しない状態で悩み苦しむこと。医学上の疾患名

FTM(Female to Male)

身体的に女性だが心が男性である。
トランスジェンダー・性同一性障害

MTF

身体的に男性だが心が女性である。
トランスジェンダー・性同一性障害

MTF(Male to Female)

身体的に男性だが心が女性である。
トランスジェンダー・性同一性障害

Xジェンダー

両性・無性・中性の性自認を持つ人。

性的マイノリティの人って見たことないのだけど…

多くの当事者は差別されることを恐れて隠れて生活しています。一般の人々と変わらないように自分を抑えていますので分からないのです。性同一性障害の場合は、見た目の違和感により、じっと見つめられたりする場合があります。

同性愛はおかしい?

異性愛が多数を占める社会では、異端なものとされて「普通でない」とされてきました。自分の理解できないことを普通でないとかおかしいと思うことが偏見を生みます。

性同一性障害とは何ですか?

体の性と心の性が一致していない状態。自分自身の性別に違和感を感じている人。診断名。

性別を変えれば同性愛ではなくなるのでは?

同性愛者の多くは性同一性障害ではありません。人は必ず異性と恋愛するものだという固定観念によって同性愛者は自分の性別を疑うことがあります。性同一性障害であれば、恋愛とは関係なく自分の性別に違和感を感じています。

バイセクシュアルって何?

恋愛感情を持つ相手が、男性の時もあれば女性の時もあったりと、異性愛や同性愛の両方があることをいいます。
実はバイセクシュアルの人は多くいて、完全な異性愛や同性愛の人の方が少ないのかも知れません。

同性愛は趣味嗜好や性癖ではないのですか?

同性愛は性的な趣味や嗜好ではありません。性的指向といって、人には恋愛の対象が異性に向く人、同性に向く人、両性に向く人とがあるのです。同性愛はあり得ることで、何もおかしなことではありません。
また、人は様々な性癖を必ず持っています。異性愛者にも様々な性癖があるように、同性愛者にも様々な性癖があるので、同性愛自体を性癖ととらえるのはおかしなことです。
性的な趣味と考えられてきたことで、同性愛は本人の意思や生き方で選択できるのではないか?という誤解も生まれます。

性同一性障害は、女装や男装の趣味とは違うのですか?

違います。内面の本当の性別にあわせた装いをしたいと思うのは当然の気持ちです。
自分が着たくない服装を強いられるのは辛いこと。性同一性障害をもつ人の中には、「女装」や「男装」という言葉に傷つく人も数多くいます。例えば「女装」という言葉は、一般的には「女性でない人が、女性の格好をする」と言う意味で使われる事が多いので、真剣に女性としていきたいと考えている人であれば自分を否定された気持ちになります。

性同一性障害と同性愛は違うものなの?

違います。性別の問題と性的指向(好きになる性)は別物です。性同一性障害でも異性愛であることが多数と思われますので、恋愛は心の性から見て異性に向きます。その場合、身体の性別と同じ性別の方を好きになることになり、はた目から見ると同性愛ではないか?と思われてしまうのです。性的指向は人それぞれですので、性同一性障害で同性愛ということもあり得ます。

同性愛を治すことはできる?

同性愛は病気ではありません。精神病としての扱いもされません。  同性愛を認めにくい社会の中では、できるものなら異性愛者になりたいと思う当事者は多いと思いますが、治すことはできません。本当の自分を抑えて生きていくことはできるかもしれませんが、大変辛い生き方となってしまいます。

カミングアウト(カムアウト)とは何ですか?

同性愛や自信の本当の性別を誰かに伝えることを言います。当事者としては一大決心がいることで、特に親に向けて伝えるのは難しいことです。自分自身が楽になるためではなく、自身と周辺の人との関係をよりよくするため、堂々と生きることで社会を変えていくための行為です。

LGBTは見て分かりますか?

分からないことがほとんどです。同性愛者の多くは偏見を恐れて分からないようにしますので物腰で分かるというものでもありません。性別に違和感のある方は自分が思う性別に合わせた服装を取ることはあるかもしれませんが、最近のファッションはいろいろですので、見て判断することはできないでしょう。従って、個人の内面の問題とされていき「いないもの」として扱われたり、当事者同士もつながりにくいのです。